スイミングを習わせることは子供の成長に好影響!?【スポーツドクターインタビュー】
★この記事をざっくり要約すると!
- スポーツドクターの観点から水泳の魅力を紹介
- スキャモンの成長曲線やスポーツに必要な能力の発達パターンにスイミングのカリキュラムがマッチ
- 5歳以前に始めておくべき
第6回「専門家タイアップ」コンテンツです。
今回は、スポーツドクターの平野貢さん(以下平野さん)に、
子供の頃にスイミングに通わせるメリットを伺ってきました!
平野さんは、現在、「精神科産業医」とメインに、大学でもスポーツ医学を教えています。また、大学・企業スポーツのチームドクターや各種運動大会の救護企画担当や大会ドクターで活躍しております。過去には、競泳選手として、日本実業団大会や国民体育大会等の全国大会で優勝を経験したこともあります。
詳しくは平野さんのSNSをご覧ください!
「スキャモンの成長曲線」とスイミングスクール
編集部 平野さんよろしくお願いします。
さっそくですが、「スポーツドクター」の観点から子供の頃にスイミングスクールへ通わせておくメリットってありますでしょうか?
平野さん はい。
一言で言うならば、「スキャモンの成長曲線」とスイミングスクールで行われるカリキュラムがマッチしている部分が多いという点ですね。
編集部 「スキャモンの成長曲線」ですか?ぜひ、詳しくお聞かせください!
「スキャモンの成長曲線」とは
平野さん はい。まずは、「スキャモンの成長曲線」について説明していきます。
スキャモンの成長曲線とは20歳時点での発育量を100%としたときの成長パターンを
・ 一般型
・神経型
・生殖型
・リンパ型
の4つに分類して表現したものです。(図を参照ください)
それでは、図から何が読み取れるのか一つずつ触れていきましょう。
神経型
神経型は、脳や脊髄、視覚器などの神経系や感覚器系の成長を示したものです。神経系や感覚器系は、出生後から一気に増加し、5歳までに80%の成長を遂げます。
つまり、5歳までに神経回路へ刺激を与え、さまざまな動きを経験させることで、大きな成長の下地を作っていくことが可能となります。また、一度その経路が形成されるとなかなか消えないので、さまざまな動きを5歳までに経験させると良いといえます。
生殖型
生殖型は、思春期の15歳頃から急速に筋肉量も増え、背も伸びていくなどの発育がされていく特徴があります。ですから、筋力トレーニングもこれ以降、少しずつ行っていくと良いといえます。
リンパ型
リンパ型は、免疫をつかさどるリンパ組織(扁桃やリンパ節など)の成長を示したものです。体を守るための免疫系の成長のことです。発育の特徴としては、6歳から急激に上昇し12歳頃にピークを迎えます。
つまり、リンパ型の発育曲線は思春期に最も高くなり、そこから徐々に下がっていく傾向となります。
一般型
一般型は、身長や体重、筋肉、骨格、臓器などの成長を示したものです。身長や体重の伸びが大きくなるのは、出生後の時期と12歳頃からです。14歳頃からは急激に発育し、18歳頃にはほぼ100%近くまで達します。
つまり、一般型の発育曲線は、出生後と14歳頃に急発育期が2ヵ所登場することになります。
編集部 なるほど!発育の促進は年齢によってそれぞれ特徴があるのですね。つまり、そのそれぞれの特徴にスイミングスクールのカリキュラムがマッチしているということですかね!
「スキャモンの成長曲線」とスイミングスクールカリキュラム
平野さん はい。主にスイミングスクールとマッチしてくるのは「神経型・リンパ型・一般型」ですね。それぞれ照らし合わせていきましょう。
神経型
スイミングスクールでは、小さな頃はボール遊びや水の中で戯れるなど、泳ぐより楽しみながらさまざまな動きをさせることが多いですよね。それにより神経回路にさまざまな刺激を与えることができます。
また、この段階で体で泳ぎを覚えることで、体の感覚で泳ぎという動きを習得することができるので大人になっても感覚的に泳ぐことができるでしょう。
リンパ型
水泳は、水の中のスポーツですので、水という外敵に身を置きながらレッスンを受けることで、悪いものを排除できる能力を向上させることができます。
つまり、リンパ型は、6歳から急激に上昇し12歳頃にピークを迎えるので、小学生の期間に水泳を習わせておくことは効果的といえます。
一般型
スイミングスクールでは、選手クラスを用意しているケースが多いですよね。もし、選手クラスに上がる場合、中学生の年齢ではトレーニング強度を少しずつ上げていくようになっています。
一般型は12歳頃から内臓系発育が著しくなるので、この時期に呼吸器、循環器系のトレーニングをメインに行うことは効果的と言えます。
編集部 なるほど!スイミングスクールのカリキュラムは、子供の成長に欠かせないものと言っても過言ではないですね!
平野さん はい。そうですよ!
また、「スキャモンの成長曲線」に付随して、教育学博士の宮下充正先生が提唱する「発達パターンと年齢別運動強化方針」も合わせてご紹介しておきます。
編集部 ぜひ、詳しくお聞かせください!
「スポーツに必要な能力の発達パターン」とスイミングスクール
平野さん では、説明していきます。(下記図を参照ください)
画像引用:https://www.kyoto-np.co.jp/kp/sport/mandara/c_doctor/doctor.php?m=091023
この曲線が明らかにしているのは、動作の習得に関する育ちは、5歳頃から大きく伸び始め、15歳頃には低下してしまうということです。その伸びが著しいのは、まさに小学生時代ということです。
そして、粘り強さ、つまり長距離走などのように全身の筋肉を長い間使い続ける力は10歳頃から発達量が大きくなります。一方、力強さ、つまり筋力は小学生時代においてはまだまだ発達が盛んではありません。。小学生時代に身に付けるべき力は、持久力でもなく、筋力でもなく、多様な動き方や上手な身のこなし、つまり「巧みな体の動き」とうことがいえますね。
そこで、スイミングスクールは、小学生低学年で泳ぐことで水の怖さや楽しさなどを覚えるカリキュラム。小学校高学年から泳ぎで呼吸器や循環系を強くしていくカリキュラム。中学から選手コースに上がるのであれば、筋トレなども含めたカリキュラムの構成となっていることが多いのでおすすめですね。
編集部 なるほど、、、科学的な見解とスイミングスクールのカリキュラムがマッチしてることに驚きました。
平野さん、貴重なお話をありがとうございました。大変勉強になりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回お話いただいた内容の要点をまとめました。
1、「スキャモンの成長曲線」とスイミングスクールカリキュラムはマッチしている
2、「スポーツに必要な能力の発達パターン」とスイミングスクールカリキュラムもマッチしている
ぜひ、この機会に、お近くのスイミングスクールの体験・見学に行ってみましょう!
※本記事の監修メンバー
・水泳歴20年のアドバイザー「渡邉氏」
・精神科産業医の「平野氏」
p.s.
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